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EM番外編  【悲しみを乗り越えて】


レオナの魔力の暴走により荒廃した世界――フロンティア
人々は絶望の淵に居ながらも元の世界へと頑張っていた

そして最も西に位置する町ライン
ここで2人の子供――シャオメイリンが組み手をしていた

崩拳
「甘い甘い、破!
メイリンの放った一撃を体を縦にずらしかわすとシャオの掌底打がメイリンの顎に寸止めされる
「あちゃ〜、また負けた〜」
「でも今回は大分苦戦したよ、腕上がってきたんじゃないか?」
「うぅ〜、それでもまだシャオには1回も勝ててないよ」
メイリンが座り込んで悔しそうな顔をするとその隣でシャオはメイリンの顔を見つめ笑っていた

荒廃したフロンティアでは遊戯の道具など無く、遊びと言うとこれくらいしかなかった

――自分の身は自分で護る
それがこの世界での教えだ
力無き者は野党や魔物に殺される
その為女子供関係なく、腕を上げていった
この中で特に突出していたのがメイリンとシャオだった
特にシャオは大人にも負けないほどの力の持ち主でよく野党や魔物を追っ払っていた
メイリンもそれに負けないほどであったがシャオとは既に50戦ほど組み手をしていたが1度も勝てずにいた

そんなある日の事
二人はいつもの様に組み手をしていた
分は……相変らずシャオが有利
メイリンの攻撃を何度か見ている為かシャオは1手1手先を読みかわして行く
「てぇーーい!!」
「おっとと、掌握!」
当たらなくなって段々と雑になった所での大振り、その一撃をかわしシャオの掌底が決まる
「また負けた〜」
「振りが大きくなりすぎだよ、後半雑になってたから気をつけなよ?」
と、笑顔で言うシャオ
メイリンは見た目はその笑顔に対してムッとしている様に見えるが内心ではその笑顔が好きだった

「メイリン〜、参拝に行くわよ〜!」
遠くからメイリンを呼ぶ声が聞こえてくる
「あ、お母さんだ。……そっか、そう言えば今日はフレア様の所に参拝に行く日だった」
「じゃあ早くお母さんの所に行ってきなよ」
「うん、また後でね!」



――フレアの館
「よく参ったなそなた等。で、最近の様子はどうだ?
復興は順調に進んでいるか?」
「はい、とりあえず土に養分が戻ったのか植物の芽が出て来る様になりました
これなら野菜等も育てられそうです」
「ほぅ、それは良い報告を聞いた。
今後も復興に励んでくれよ」
「はい、ありがたきお言葉です」
メイリンは母親の隣りからフレアの事をじっと見ていた
「ん、確かメイリンと申したか……どうしたか?」
「フレア様は女性なのに何故それほどまでに強いんですか?」
フレアの実力はフロンティアに住む者なら誰もが知っていた
そして女性であるその事がフロンティアの女性達により一層の励ましとなっていた
「ふむ、何故強いか、か……中々難しい質問だな」
フレアは拳を顎に当て暫く考えているとゆっくりとメイリンに向かって喋りだした
「私の強さの理由はやはり、お前たちのおかげだな」
「あたし達の……?」
「そうだ、そなた等が頑張る姿を見ていると自然と私に力が湧いてくるのだ
そう、護るべきものがあれば人は強くなれる」
「……護るべきもの?」
その答えにメイリンは首を傾げて考え込む
「今は無理だとしてもいずれは気付く……本当の強さと言うものに、な……
さて、今日は実は客人を迎えていてな、本日はここまでで良いかな?」
「はい、ありがとうございましたフレア様!」
「……うむ、また来るが良いぞ」


メイリン達が立ち去ったあと客人が口を開ける
「あの子……いずれは大きくなりそうだね」
「うむ、あの子は強い子だ。いずれはフロンティア……いや、世界を救うかも知れんぞ?」
「……ラヴォロスか。願わくばそれだけは事前に阻止したいけどね……」
「おそらくは無理であろう……私達にはあの者を止める資格などありはしないからな」
「……」



転移の祠を出、ラインの方角を見ると地平線に赤い色が浮かび上がっていた
「わぁ……夕焼けだ、綺麗や……違う!?」
夕焼けに思えた赤は良く見るとラインの町を中心に揺らめいていた
「火事?急いで帰るわよ、メイリン」


ラインの町に戻ると町一帯に炎が広がっており地面には朝は元気であったであろう人たちが無言で血を流し倒れていた
「みんな!――死んでる……」
切り刻まれた死体、そしてその臭いが吐き気を誘う
「あぅっっ……クッ、はぁはぁ……」
メイリンは町を歩き続けた、中に誰か1人くらいは生きている人が居るかもしれない
一縷の望みを信じて

町の反対側の入り口まで来たところでメイリンは足を止めた
「シャオ!!」
駆け足でシャオの元まで走り寄ると倒れていたシャオを抱えあげる
その胸は僅かだが上下していて生きている事を教えてくれる
「シャオ、大丈夫?シャ……オ?」
抱えあげた時、左手に何かぬるりとしたものを感じた
メイリンはその手に付いたものをゆっくりと確認する――血だ
「あ……あぁ……」
「くっ……うぅ……メイ…リン?」
「シャオ!?」
メイリンの手の中でゆっくりとシャオが意識を取り戻す
「一体何があったん!?ねぇ……なんでこんな……事に……」
「野党が……来たんだ……それでこの村にある物を全て……くっ」
シャオは苦しさを抑えながらも話を続ける
「半分くらい……倒した辺りで首領っぽいのが来て……そいつに負けちまった……
このまま……じゃ、夢叶えられそうに無い……な」
「そんな事言わないでよ!まだ、まだ助かる……よぉ」
メイリンは涙を流しながら応急処置を施す
しかし、シャオの傷は深く血は一向に止まらない
「……世界最強なん…て、馬鹿げた夢だったけど……こんなところで終わるっのか……」
「終わらない!」
「……メイリン?」
「あたしがこの先負けなければあたしに負けた事の無いシャオが一番って事になる!!
そしたら、シャオが最強になれる……よ」
メイリンは泣きながらも必至になって喋り続けた
「何てったって……あたしはシャオに一回も勝ててないんだもん!」
シャオの口元は微かに笑っていた
……その笑顔のまま、シャオは息を引き取っていた



夜中、死んだ人達を埋葬し終えみんなが眠りについた頃、メイリンは1人準備を整え町を出発した
野党たちのアジトは町の外にあった馬の足跡で大体の予測はつく

半日ほど歩き続けた場所に1つの洞窟が見えた
見張りは2人
メイリンは大きく深呼吸をするとその見張り2人の前に飛び出す
「!?」
見張りたちが仲間を呼ぼうとする前にメイリンがその2人に攻撃を加え倒す
そしてそのまま洞窟の中へと進んでいった


少し進んでいくと野党たちがたくさん居る広間に出る
「あん?ナニモンだ、てめぇは」
「あたしの名前はメイリン=ロン。あんたたちを倒す為に来た!」
「……いい度胸だな、野郎どもやっちまいな!!」
首領と思われる男の合図でその場にいた野党たちが一斉にメイリンに飛び掛る
「ハァァァァァッ!!」
メイリンは気合を溜めると襲い掛かる野党たちを次々と倒していく
「タァ!破っ!」
半分近くが片付いた頃であろうか、他の野党たちが次々と倒されていく仲間を見てうろたえ始める
「チッ!てめぇら逃げ腰になってんじゃねぇ!
相手は女だぞ?情けねえぞ、ああん?」
首領の一喝により残っていた者達が再びメイリンに襲い掛かる
しかしメイリンはその事如くを打破していく

そしてついに残ったのは首領の男だけとなった
「はぁ……はぁ……あとはあんただけだ、覚悟しや!」
「ったく、だらしねぇ連中どもだなぁ……仕方ねぇ相手してやるか」
そう言い男は巨大な斧を手に持ち、メイリンの前に立った
メイリンは疲れた体に喝を入れ直し構える
先に動いたのは首領の男
その巨大な斧をメイリン目掛けて振り下ろす
その一撃を体を半身ずらしかわすと相手の腹目掛けて一撃を放った
崩拳!」
「くっ……このやろう!」
一撃は確かに腹に決まったが疲れのせいか、大したダメージにはならず逆に男の斧を持った反対の拳を顔面にモロに食らう
「きゃぁぁっ!」
「軽い体だなぁ……そんなんで良く挑む気になったもんだぜ」
「……負けられないんや……シャオの夢の為に負ける訳にはいかない!!」
メイリンは立ち上がると再び構え、男を見据える
「夢?クハハハッ!笑わせてくれる……この世界に希望を持つ事なんて無意味なんだよ!!」
男は大きく斧を振りかざしメイリン目掛けて再び振り下ろす
「こんなもん!」
メイリンは振り下ろされた斧の側部に力を込めた裏拳を放つ
斧から鈍い音が響く
「クハハハッ!!斧を殴ったところで壊せる訳無いじゃねぇ……か?」
男が笑っている横で斧からひび割れの音が聞こえ、刃が地面に落ちる
「……物質の表面ではなく内部を破壊する拳――浸透拳!」
「ば……馬鹿な……素手で斧を叩き壊すなんて」
「次はあんたや……覚悟し…なよ……」
突然メイリンはよろめきその場に倒れる
極度の疲労と緊張感が最後まで続かなかったのだ
「ク……クハハハッ!!……はっ、惜しかったなぁ?
今、楽にしてやるぜぇ……」
そう言い男が近くにあった短剣を手に取ると倒れているメイリンの首元に切っ先をあてる

しかし、その切っ先はそれ以上突き刺さる事は無かった
凄まじいまでの威圧感――その力に男は多量の汗を流し身動き出来ないでいた
「――その腕を1ミリでも動かしたら首を斬り落とす」
その威圧感の主は男の後ろから首元に剣を当て、立っていた
「ひっ――助け……
「喋るなっ!次に喋っても……殺す」
「待て、フレア――!!何があっても人間を殺さない約束・・を忘れたのか?」
威圧感の主――フレアは怒りが収まらない表情で剣をひっくり返し峰で後頭部を叩き気絶させる
「タイン……、私には我慢がならん!何故この様な者であっても生かさねばならん!?
あの時・・・だってそうだ!」
「確かに……人間に酷い者もいる……それでも、この子の様な人間だっているんだ
もう少しだけ……もう少し人間を信じてみようよ?」
「……」
フレアは何も言わずタインの言葉を聞いていた
「君だって少しずつ人間を信じて来ているんだろう?
だってこの子に言ってたじゃないか、フロンティアの住人達の頑張る姿を護るのが自分の今の強さだって……」
「……そう……であったな、それにこの者――メイリンのような者が居てくれればきっと……」




メイリンが次に目が覚めた時はラインの自分の家のベットの上だった
母親が言うにはフレアがここまで運んで来てくれたのだと
そしてその時、フレアはこう言っていたと
「お主の戦いしかと見届けさせて貰った、見事であったぞ
お主の様な者が居れば必ずこの世界も生まれ変わる」、と
メイリンはその言葉を受け、シャオの仇を討てた事、フレアに認めてもらえた事に涙した


そしてその後、メイリンはレン達と出会い動機こそ違ったが世界を護る為の戦いに身を投じる
そしてその旅の中でタインとメイリンは再会をする
メイリンはタインの事を知らなかったがタインは出会った時にすぐにあの時の子だと悟っていた
「(あの時の子か……随分と成長したみたいだね……
本当の強さ――人の為に出せる心の力にもまだ自分では気付いてないみたいだけども感じてはいるようだね……
君なら……君達なら……)成る程、中々の力量だ……これなら」
「力を貸してくれるん?」
「ああ、これを受け取ってくれ。
僕と源正が作り上げた大地の力を宿した武具だ」
そう言いタインはメイリンにクラブの形をした武具を手渡す
「凄い……力が溢れてくる、これが精霊の力……」
そのクラブから溢れるものは力以外に暖かさも感じた
(頑張れ……メイリン)
そのクラブにはタインの心と世界を護って欲しいと言う願いが込められていた……




終わりが何か中途半端ですが(^^;

……と言うかこれで話はうまく繋げられているのだろうか?(悩
とにかくメイリンの過去の話です
メイリンが強さにこだわった理由を見れたと思います
まぁ微妙にまだ謎に繋がる文章もありますが、その辺は本編で語っていきますm(__)m




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